これだけ誰もが気軽にコンピュータを使うようになると、ついつい自分でもプログラムが出来るのではないかと、思い立って始めてしまう人も少なくありません。趣味で、あるいは仕事の効率を上げるために、素人であっても1ヶ月程度の勉強で出来てしまうかもしれません。しかしこれに味を占めて、「なんちゃってプログラマ」に向かうのは危険です。まずはプログラマであればプログラミング言語の基礎を勉強しているものですが、それをすっ飛ばして必要なところだけを何とか繋ぎ合わせただけであっては、太刀打ちできません。もちろんプログラマとしてコーディングの美しさにこだわるあまりクライアントの要望と齟齬をきたすというのもプロとはいえませんが、それでもある程度読みやすいコーディングは必要です。
そしてもちろん必要に迫られて、あるいはこんなことを実現したいという理想を自らのプログラミングで叶えたという成功体験は、たとえ在宅ワークであっても、プログラマとして仕事を続けて行く原動力にはなるでしょう。しかしすさまじい勢いで技術革新を遂げているIT業界において、恥ずかしげもなくプログラマを名乗るという時に、基本的なスキルや知識もなしに実装してしまえば、「小さな親切、大きなお世話」になりかねません。プロであればユーザーが使いやすく、ユーザーにとって価値あるプログラミングのために、どんな選択肢があるのかを思い浮かべて、予算と納期も考慮に入れつつ、最適なものを選ぶことが出来なければなりません。にもかかわらず自分の全力を併せても1つの提案しか出来ず、その実装に手一杯で、読みやすいコーディングなど考えている余裕もないというようでは、資質以前に早晩淘汰されてしまうでしょう。
また自分の手持ちのスキルや知識に乏しいと、思い浮かぶアイデアも限られてしまいます。「急がば回れ」とも言われるとおり、たとえ「なんちゃってプログラマ」として在宅で仕事を受注しているとしても、目の前のその仕事をこなすためにどれだけ基礎固めをしておかなければならないのか、という点をよく考える必要があります。そもそも無手勝流とはいえ、プログラミングの経験を積み重ねるということは、決して悪いことではありません。想像と現実のギャップに気付くでしょうし、勉強の必要性を痛感するからです。そして今の自分に何が必要なのかが分かってから勉強しても、決して遅すぎることはありません。プログラマの癖はコーディングに表れると言われますが、これは一つ一つの仕事に署名をしているようなものであり、誇りを持って自分のイニシャルを刻み付けられるようなプログラマを目指しましょう。